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BIO

1971年、横須賀本町ドブ板「部族」。

紫煙の立ちこめる外人バーの隅っこで俺は奴の登場を待っていた。

ボーカリストの抜けた「ジュリエット」のプレイ。

俺にはイマイチしっくり来ていなかった。

「タミーが来る」誰かがそう言った。米兵たちの歓声が上がる。

奴の名前は以前から聞いていた。

自在扉が押し開かれ、米兵たちがステージへの道をあける。

腰まで垂らした長い髪、痩せこけた、まるで西部劇に登場する悪のヒーローのようだ。

奴はゆらりとステージに上った。ベースを受け取る。

ドラマーが誘い水を出した瞬間から奴の世界に引き込まれた。凄い奴だ。

ティム・ボガードを想起させるが、それとも違う。こんなベースが日本にいたのか。

気がつくとあちこちで米兵たちの喧嘩が始まっていた。ビール瓶が乱れ飛んでいる。

誰かが椅子を振りおろし、一人の米兵が倒れ込む。憲兵たちがなだれ込んできた。

横須賀本町ドブ板、「部族」

1971年、ベトナム戦争はすでに泥沼化していた。

文・中村裕介

 






1950年 横須賀。米海軍水兵であったChrist Chigas、今井小夜子の間にタミー今井は生まれた。
1963年 タミー13歳の時に母からプレゼントしてもらったギターが、彼を音楽の世界へと導いていく。
1968年 ベトナム戦争景気に沸くドブ板通りのバーや横須賀米軍キャンプの将校クラブ等で演奏活動を開始。
1970年 ドブ板で知り合ったギタリストのヒロ福島と「ゴーイングマイウェイ」結成。
1971年 ベトナム反戦運動のため来日した米映画女優ジェーン・フォンダのコンサートが横須賀文化会館で行われ、「ゴーイングマイウェイ」はその前座をつとめている。
1971年12月 タミーは横浜で活躍を始めていたギタリスト李世福のグループへ。
1972年の暮 「李世福グループ」は解散し、李世福(フクチャン)は鈴木亨明(Bass)らと「李世福コネクション」結成。Vocalの村上順一(ヒゲジュン)はヒロ福島、シゲミ小宮山(Drums)、喜太郎(Keyboard)らと「南無」を、タミーはギタリストの桜井テルアキらと「シーダーポイント」を結成し、横須賀・横浜をベースに活動を開始。
1973年 「シーダーポイント」解散後、ヒゲジュンの誘いもあり、タミーは「南無」へ。「南無」はメンバーの変動が激しく、すでにシゲミ小宮山は渡米、ヒロ福島と喜太郎はファーイーストファミリーバンドへと移籍していた。当時のメンバーにはボクチン(Guitar)、そうる透(Drums)らがいたが、やはりタミーも一年足らずで脱退し、米軍キャンプ廻りの古巣へと戻っていった。
1978年 タミーは再びヒゲジュンから誘われ「南無」に参加する。しかし、しばらくして、Drumsのそうる透が「東京おとぼけキャッツ」へ。ついにバンドは解散した。
1980年〜 しばらく活動休止していた李世福からバンド再結成の話が出る。メンバーは李世福(Guitar)、沖田修(Guitar)、野木信一(Drums)、村上順一(Vocal)、タミー今井(Bass)。その後、ドラマーは桜井義明に、ヒゲジュンは脱退、渡米。このため李世福がVocalも担当することになった。

黄金期を迎えた李世福と「李世福コネクション」はその後次々と傑作アルバムを発表していく。1983年「横浜ルネッサンス/デイヴ平尾with李世福コネクション」、1984年「罌粟花/李世福コネクション」を発表。

1988年 「李世福コネクション」はオーストラリア建国100周年記念メルボルンコンサートに姉妹都市横浜の代表として参加(共演:ロイブキャナン、ハービーハンコックetc..)。海の向こうオーストラリアの音楽ファンたちは熱狂的に彼らを迎え入れた。TVK特別番組「李世福と仲間たち」放映。
1993年タミ−単身渡米。シゲミ小宮山(Drums)、Michael佐々木(Guitar)等とサンフランシスコにてレコーディング。
1994年 「李世福コネクション」はドラマーが桜井義明から林マキコへ、ギタリストは沖田修から青木桂一へと交代。
1996年 タミー、李世福、ジョニー吉長(drums)からなるインストゥルメンタル・ユニット【Lee Su Fu-Johnny-Tammy Band】による「我是中国人」を中国北京にて録音。中国・香港にて発表。
1999年 「大地に向かって/李世福コネクション」を中国北京にて録音。発表。北京市内での初LIVE(共演:唐朝、黒豹etc..)は好評を博し、地元紙芸能欄に掲載される。
2000年 中村裕介(Far East Native)等とレコーディング。93年のシスコセッションや李世福コネクションの未発表テイクからなるタミ−初のSOLO ALBUM「THE STATUE OF LIBERTY」発表。
2001年 野木信一(Drms)、佐々木ヒデミ(Vo)、日谷ユウジ(G)、青木桂一(G)、久野光男(Key)等とSession Bandを始動。また横浜シーメンスクラブにてJazzトリオ結成。


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